Omoide in my head

君の名は。を見て心を突き動かされた

映画を見ていてもたってもいられなくなり

翌日には原作本と外伝と画集を買って読破した

そしてその次の日もセンチメンタルさを含んだ焦燥感にかられ、どこかに行こうかと思った。

ここ数日、ずっと情にもろい状態が続いている。

行きたい場所を調べ、そこに目処を立てて向かう。

都市部から離れるにつれ見かけるビルの数が少なくなっていく。

道中では、持参した原作小説を読み、あの感情は嘘ではなかったのだと確認する。

電車を何本も乗り換え、バスに揺られ、やがて荘厳な山地に差し掛かる。その山にぽっかり空いた湖を目指していた。

奥多摩湖、という名前だった。

落ち着いて考えられる場所に行きたいと思い、気づいたらここに来ていた。

そこで俺は俺なりに思索する。

将来のこと。家族のこと。

現実的なテーマで思い悩んでも調べ物をしても求める答えは出ず、もしかしたらそんな答え自体求めていなかったのかもしれないと自分を正当化しながら思索は君の名は。の方に向かっていく。

互いの名前を忘れ、日常に飲み込まれながらも心のどこかで何かを探す二人。

それは思い出せない夢の続きを求めていく途方も無い旅路のようだった。

例え描写されてないとしても、二人には末永く幸せになってほしい。

思考は再びパーソナルな視点に戻る。

俺は何がしたいのか?

俺は何になりたいのか?

その答えは結局、今日も出てこなかった。

奥多摩湖から帰路につく。

やりたいこと、ではなく出来ることを探すのが早いのは分かっている。

電車に乗る人が徐々に増えていく。

けど、その道を進んで行くとせっかく手にした大切な何かを手離してしまいそうで怖い。

この人達は自分の将来に対して、どんな決断を下したんだろう。そしてその決断にはどれほど勇気がいるんだろう。

踏ん切りがつかない。

俺は今も臆病なままでいる。